みるく世

むかし、むかし
南海の小さな国の王さまが、国を、城を明け渡すとき
嘆き悲しむ民の前で言いました。

戦さ世んしまち(戦の時代は終わった)
みるく世ややがて(やがて平和な時代が来る)
嘆くなよ臣下(私に仕える民よ、嘆くなかれ)
命どぅ宝(命こそ、宝なのだから)

(沖縄芝居「首里城明け渡し」の場面で
琉球王朝最後の国王、尚泰が民の前で詠んだ「琉歌」)


王の居城である首里城を明け渡し、1879年(明治12年)明治政府によって行われた沖縄の廃藩置県、いわゆる「琉球処分」によって「沖縄県」が設置されました。



72年前の今日、沖縄では第二次世界大戦の組織的戦闘が終結しました。
今日6月23日は「慰霊の日」として、学校や諸官庁はお休みです。
小さな島国ゆえに常に大国や近隣の脅威にさらされながら
生きてきた歴史があります。
命を大事にしなさい、という教えのもとに。


やがて平和な時代が来る、と王さまは言い残しました。
今なのかな、それとももっと先なのかな。

ふるさとである小さな島に思いを寄せながら
この国から、世界中から
弱い人が傷付くことのない平和な世界になっていくことを祈っています。


みるく世(ゆ)・・・「みるく世果報(ゆがふ)」
沖縄古来の信仰で
弥勒神(みるくがみ)が もたらす理想的な平和で豊かな世の中」の意。