逮捕

プロポーズをしたけど、断られた
 
「何故なら私は・・・」
 
 
相手の男性はかなりショックだっただろう
 
まさか、あの・・・
 
 
 
生涯を共にして欲しい、と思わせるほど
「良い女性」に見えたのだろう
 
一生懸命働き、他人に迷惑を掛けることはせず
おとなしくて目立たないけれど、仕事は誰にも文句を言われないくらいきちんとする・・・
そう、変に目立たないように、息を殺してひっそりと・・・
誰かの記憶に残らないように細心の注意をはらってきたのだろう
 
 
かつて・・・日常と隣り合わせの、別の世界では
狂った教祖に心を支配された人間達が、彼らの「王国」を創り、
彼らを異端と見なす「普通の社会」を攻撃すべく
禁断の「武器」を製造し、多くの人の命を、生活を奪った
 
 
 
教祖の呪縛から逃れられなかった彼らも
逃亡生活の、いつかある時点でふと立ち止まっただろうか?
 
信じていたものが、実はただの一人の男の妄想に過ぎなかった、と気づいたとき、
人生を狂わされた彼らも、また他の多くの人生を狂わせてしまったことに気づいたとき、
彼らは何を思っていたのだろう?