千代にさよなら

島唄」という曲を初めて聞いたとき、良い曲だな、と思った。
まず歌詞が・・・楽曲としてもとても良くて
本土に住む沖縄人なのに「オキナワ」っぽいのが苦手だった私だけど
この曲はストレートに耳に入ってきた。

後でこの曲の作者がオキナワの人じゃないと知って驚いた
山梨県:甲府出身)

TheBoomの宮沢和史が、沖縄で目にした一枚の写真
沖縄本島沖合の海に浮かぶいくつもの真っ黒な大きな影
米軍艦隊がこれから艦砲射撃を行おうとするまさにその直前、の写真。
どこかの高台から撮ったであろうその写真には、手前に沖縄の山林、砂浜、海・・その沖合には小さな島に照準を合わせているであろう艦隊の影)
モノクロの画像は、色もなく音もなく空気が止まっているかのようだった。

宮沢はその写真にショックを受け、沖縄で見聞きしたことを基に
あの「島唄」を作り上げたのだという

昨日、たまたま見ていた「旅のチカラ(NHK)」という番組で宮沢和史
南米ペルーで生きる日本から移民した人達と出会うという内容だった。
ペルーには戦前から多くの貧しい沖縄の人達が移民として行っており、
日系人の中でも沖縄出身の人が多い。

遠い故郷の日本を想い、生きていく力となった歌の中に「島唄」もあった。
言葉はわからないがその曲に感じるものがあったのか南米の歌手も
カバーしていると聞いたことがある。

宮沢は、「島唄」を作り歌うことで音楽が自分の生きる支えになった、と
言ったが、東日本大震災が起きた時、その信念が大きく揺らぎ一時は歌うことが出来なくなった、と言っていた

こんな時に歌が何の役に立つんだ?

それでも、一度歌ってみて、自分の中からわき起こるチカラを感じたという
「歌でお腹はいっぱいにならない、だけど胸がいっぱいになることはある」


久しぶりに聴いた「島唄」・・・
この曲、好きだな~。

「ウージ(さとうきび)の森であなたと出会い
 ウージの下で、千代にさよなら・・・」
このくだりにはいつも泣けてくる
ある人が言うには、これは戦時中、防空壕の中で敵軍に辱めを受けるくらいなら自決せよ、と教わった人達がいよいよ助からない時には自決したことだ、とかなんとか・・・
また、この部分だけは、沖縄音階を使っていないことにも意味があるとか
・・・


そんなことよりも、宮沢が、見た一枚のあの写真・・・

これから雨のように砲弾が降り注いでくる直前の、
静止した一瞬

これから起こる悲劇を知っているから泣けるけど
なぜだかその恐怖と涙に、覚えがあるような気がして・・・