”La Femme”

ここ数年、母からよく電話がかかってくる。
週に2,3度、それも午前中(9時頃)
殆ど他愛も無いことばかりで家族や知人の話、趣味の話などが多く
急いでる時以外は親孝行と思って話の相手をしている。

「長年愛用していたミシンがとうとう使えなくなって
テレビの通販でミシンを買って、それで何を作ろうかな、
そうだ、エプロンを作ろう!と思ってお父さんに頼んで『しゃりま』に連れて行ってもらったんだよ・・・」

しゃりま?
ああ!思い出した!布などを扱ってるお店だ、たしか(沖縄本島)中部に店舗があったんだっけ?
お店の名前は知ってるけど、遠いから行ったことないんだよね~・・・などと思いながら話を聞いていた。

「お店の中に入ってさ、何かお探しですか?ときかれたから『夢』を探してるのよ、って言ったらお店の人が「ここにはたくさん夢がありますよ、どうぞ見ていって下さいね、って答えたのよ、面白いね」
いやいや、言う方も答える方も(笑)
さすが創業45年。米軍基地の向かいに位置してるだけあって
いろんなお客に対応してきただけあるわぁ(^^;)

「でもね、結局、これだ!と思う生地が見つからなくてね
(夢は見つけられなかったか)せっかく遠くまで来たから
ついでにプラザハウスに寄って行こうって言うとお父さんは
嫌がってたけど行ってきたさ」

プラザハウス!那覇から車で約1時間のところにある、日本で一番最初に出来た複合型ショッピングセンター。元々米軍関係者向けの商業施設。昔は相当オシャレなところだったけど今ではすっかりレトロな雰囲気で、それはそれで味わいのある施設(^^;)

「そこでね、お父さんに香水を買ってもらったのよ」
「えっ?香水?お父さんが買ったの!?(アンビリバボー!!)」
在職中は殆どお洒落なんてしなかった母なのに、
退職してから少しずつ洗面台に香水のボトルが増えていて
不思議に思っていたけど、あの父が母に買っていたなんて信じられなかった。
「香水はお父さんが買ってくれるもの、って決めてるからね」
(何、そのルール?)

そういうのに全く興味が無さそうなあの夫婦が・・・
人間年を取るといろいろ変わるもんなんだなぁ・・・

母のことだから
「ね~、香水買って~」なんてフツーな言い方はしない。
「今日は私に香水を買いなさい」みたいな言い方したんだろうな。
(使っていた香水がそろそろなくなってきたよ、と数日前から知らせていたらしいけど)

「顔見知りの店員さんに「私に合いそうなものを見繕って」と言って
出してきてくれたものを購入。
空港(免税店など)で買うともっと安く買えるけど母にとっては
[夫にプラザハウスで]買ってもらうことに意義があるらしい。
ちなみにどんな香水なのか興味があったので聞いてみた。
ラベルの文字を読み上げてもらうと
「P-R-A-D-A・・・L-A-F-E-M-M-E」
ボトルの形の特徴から多分これ?
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祖母(故人:母の母親)は商売人で若い頃から身だしなみに気を配る人で、祖母の近くにいくと良い香りがしていた、と私が言ったのを覚えていて、自分もどんどん年を取っていくなかで孫達に「おばあちゃんのそばにいるといい匂いがする」と思われたいのだとか。

『匂い』に敏感な人もいるから付けすぎに注意してね、というと
「うっすらと付けてるからね」と笑っていた。

ちなみに、"La Femme"の意味は「女性」
どんな香りがするんだろう・・・